外壁調査

2025/12/21 02:09

赤外線調査をドローンで効率化できる?メリットや課題を徹底解説

近年では、外壁調査の際にドローンで赤外線調査を実施するケースが増えました。

従来は足場を組んだり、高所作業車を用いたりする必要があり、時間やコストが大きな課題でした。


ドローンによる赤外線調査は、足場を組む必要がなく、調査コスト・工期を削減できるメリットがある反面、まだまだ課題も多いのが現状です。


本記事では、赤外線調査をドローンで効率化できるのか、活躍できるシーンを交えて詳しく解説します。

記事後半では、ドローンによる赤外線調査のメリットと課題もあわせて解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

ドローンによる赤外線調査とは

ドローンによる赤外線調査とは、赤外線カメラを搭載したドローンによる外壁調査のことです。


建物の外壁や屋上を空中から撮影し、壁面の温度分布を可視化することで、目視や打診では判別しにくい下記のような異常を検出できます。


  • タイルの浮き

  • モルタルの剥離

  • 断熱性能の劣化


具体的には、太陽光や環境熱の影響で外壁が温まった状態で赤外線カメラを用い、外壁の健全部と劣化部で表面温度に差が生じる箇所を「熱画像(サーモグラフィ)」で捉えます。


ドローンによる赤外線調査は、従来のような足場設置やロープ作業を伴わず、高所や立地が厳しい建物でも安全かつ効率的に調査できるのが特徴です。


従来の外壁調査との違い

従来の外壁調査では、下記の方法が主流でした。

打診調査

ハンマーなどで壁面を叩き、響きや音、感触からタイルの浮き・剥がれを検知する方法

赤外線調査

手持ちまたは三脚などで赤外線カメラを用いて比較的低層の建物を撮影する方法


打診調査では、目視・触診による診断が主で、時間とコストがかかってしまいます。


赤外線調査は、打診調査に比べて費用・時間を大幅に短縮できる反面、手持ち・三脚を使用した調査になるため、高層階の調査には足場が必要でした。


対して、ドローンによる赤外線調査は、足場の設置が不要で、高層ビルでもスムーズに全体を調査できます。

安全性・費用・工期・広範囲の網羅性を比較しても、ドローンによる赤外線調査は、従来の外壁調査より優れている傾向にあります。


ドローンによる赤外線調査が推奨されている背景

国土交通省は、2022年に外壁調査方法のガイドラインを改定し、赤外線装置を搭載したドローンによる外壁調査が、従来の打診調査と同等以上の精度を持つ方法として認可しました。


さらに、「定期報告制度における赤外線調査(無人航空機による赤外線調査を含む)

による外壁調査」のガイドラインを策定し、ドローンによる赤外線調査を推奨しています。


ドローンを活用した赤外線調査が推奨されている背景には、次のような理由があります。


  • 安全かつ効率的に外壁調査を行える

  • 高層ビルやマンションでも、足場を組まずに精密かつ網羅的に診断できる

  • 費用・工期を大幅削減できる


これらの理由から、ドローンによる赤外線調査は、マンション・ビルの定期点検、大規模修繕前の事前調査、災害後の緊急点検など、さまざまな場面で推奨されているのです。

ドローンによる赤外線調査が活躍するシーン

ドローンによる赤外線調査は、従来の人手・足場による外壁調査では困難だったシーンや、費用・安全性の観点で負担が大きい調査で効果を発揮します。


特に活躍するシーンは、下記のとおりです。


  • 12条点検

  • 大規模修繕前調査

  • 緊急調査

12条点検

建物の安全性を定期的にチェックする「建築基準法第12条」に基づく外壁点検、通称「12条点検」でも、ドローンの赤外線調査は注目されています。


従来の打診調査や目視でのチェックでは、高所や建物の形状によっては十分に調査できなかったタイルの浮きやモルタルの剥離、水分滞留などの劣化を熱画像解析によって可視化できます。


また、足場の設置や高所作業を伴わず、より安全かつ費用を抑えて定期点検を実施できるため、負担を軽減しながら法令順守を果たせるのです。

大規模修繕前調査

マンションやビルなどの大規模修繕を行う際は、事前に外壁の劣化状況を把握する「事前調査」が必要です。

しかし、事前調査は建物全体の外壁調査が必要なため、従来の調査方法では費用・時間が大幅にかかってしまいます。


ドローンによる赤外線調査は、高所から広範囲を一気に撮影できるため、劣化・修繕が必要な箇所を効率的に洗い出せます。


またドローンによる赤外線調査は、早期に不具合箇所を特定でき、工事計画や見積もりも立てやすくなるため、大規模修繕前調査に有効な手段です。

緊急調査

自然災害や経年劣化による外壁の損傷、タイルの剥落などが発生した場合、迅速に建物全体の安全性を確認する「緊急調査」が必要です。


緊急調査は、迅速に外壁調査を実施する必要があるため、最短数時間の工期で調査を完工できるドローンによる赤外線調査は効果的です。


また、災害で足場が組みにくい建物でも、ドローンなら安全性を確保しながら調査できるため、二次被害・事故リスクを避けられます。

ドローンによる赤外線調査を実施するメリット

外壁調査をドローンによる赤外線調査で行うメリットは、下記のとおりです。


  • 劣化状況を迅速に把握できる

  • 調査コストを削減できる

  • 作業の安全性を向上できる

  • 質の高い調査データを取得できる

  • 入居者・建物利用者の負担を軽減できる

劣化状況を迅速に把握できる

ドローンによる赤外線調査は、建物外壁の劣化状況を短時間で把握できます。


従来の調査では足場を組み、作業員が壁面に直接近づいて作業を行う必要があり、調査に数日〜数週間かかるケースも珍しくありません。


しかしドローンであれば、空中から建物全体を俯瞰しながら効率よく撮影でき、異常箇所を短時間で特定できます。


赤外線カメラは表面温度の違いを可視化できるため、目視では判断しづらい内部の異常もスムーズに検知可能です。

調査コストを削減できる

ドローンによる赤外線調査は、従来の打診調査や目視調査に比べて大幅にコストを抑えられます。


高層建物の調査では、足場やゴンドラ・高所作業車などの準備に莫大な費用がかかりますが、ドローンを活用した赤外線調査では設備・人件費が不要です。


また、調査期間そのものも短縮されるため、作業員の人件費も抑えられます。

作業の安全性を向上できる

外壁調査は、高所での作業を伴うため、落下・転落事故のリスクに注意しなければなりません。


ドローン赤外線調査では、作業員が地上から遠隔操作するため、危険な高所作業を行わずに建物全体の調査が可能です。


また、建物周辺の歩行者や利用者の安全性を確保できる点もメリットです。

質の高い調査データを取得できる

ドローンに搭載された赤外線カメラは、壁面の温度分布を高精度に記録できるため、主観ではなく客観的なデータに基づいた分析を実現できます。


従来の打診調査は、作業員の経験や感覚に依存する属人化がデメリットでした。


対して、ドローンによる赤外線調査では、異常を数値化された熱画像として保存でき、建物全体の劣化状況を網羅的に把握できます。

入居者・建物利用者の負担を軽減できる

従来の外壁調査では、足場設置や作業車の配置が必要なため、騒音・振動・視界の遮りなど、入居者や建物利用者に一定の負担がかかっていました。


また、ベランダを封鎖したり開口部に作業員が近づいたりする必要があり、プライバシー面でもストレスを感じるケースがあります。


ドローンによる赤外線調査は、地上からの遠隔操作のみで外壁全体を撮影できるため、足場や大規模設備を設置する必要がなく、生活への影響が最小限に抑えられます。


騒音も少なく作業時間も短いため、賃貸マンションの入居者対応や、営業中の商業施設でも調査しやすいです。

ドローンによる赤外線調査の課題

ドローンによる赤外線調査は、さまざまなメリットがある反面、次のような課題が残っています。


  • 飛行規制により実施できないケースもある

  • 外壁下地材によって調査が難しいケースもある

  • 天候に左右されやすい

  • 周囲の安全性確保が必要

  • 隠れた損傷や劣化を見落とすリスクもある

飛行規制により実施できないケースもある

ドローンによる赤外線調査は、航空法による飛行規制が調査に影響するケースがあります。


飛行規制により調査を実施できないケースは、下記のとおりです。


【ドローンの飛行許可が必要な空域】

  • 空港の周辺

  • 人口集中地区の上空

  • 150m以上の上空

  • 緊急用務空域


【承認が必要なドローン使用方法】

  • 夜間での飛行

  • 目視外での飛行

  • 人や物件との距離が30m未満の飛行

  • 催し場所上空での飛行


参照元:国土交通省|航空:無人航空機の飛行禁止空域と飛行の方法

外壁下地材によって調査が難しいケースもある

赤外線調査は、壁面の温度差をもとに異常箇所を見つける仕組みのため、外壁の材質によっては調査が難しいケースもあります。


具体的には、下記のようなケースでは、十分な調査結果を得られません。


  • 熱容量が小さい外壁下地材

  • 中空構造の板状材料

  • 熱を吸収・反射しやすい金属系サイディング


複雑な外壁形状や凹凸の多いデザイン、タイルの種類によっても赤外線の通り方が変わり、正確な判定が難しいです。

ドローンによる赤外線調査を実施する前に、赤外線調査が可能な下地材か確認しておきましょう。

天候に左右されやすい

赤外線調査は温度差を利用する仕組みのため、天候の影響を受けやすいです。

雨天・強風などの環境では赤外線カメラの精度が落ち、異常箇所を正確に捉えられない可能性があります。


雨や高湿度の環境では壁面に水分が付着し、温度が均一化されてしまうため、タイル浮きや内部空洞などがサーモグラフィ上で見分けにくいです。


さらに、強風時はドローンの安定飛行が難しく、安全性の観点から調査が中止になるリスクもあります。

周囲の安全性確保が必要

ドローンを飛行させる際には、落下・衝突事故を防ぐための安全対策が必要です。


市街地や人通りの多いエリアでは、人や車に接触しないように広い安全確保エリアを設ける必要があり、現場環境によっては調査自体を行えません。

隠れた損傷や劣化を見落とすリスクもある

赤外線調査は、外壁内部の温度変化をもとに異常を可視化する手法ですが、すべての劣化を完璧に検知できるわけではありません。


壁面に十分な温度差が生じていない場合や、タイルの種類・下地構造によっては、内部の剥離・空洞・水分滞留などがサーモグラフィに現れないケースもあります。


そのため、赤外線調査だけで判断せず、必要に応じて打診調査や近接目視調査を併用することが大切です。

赤外線調査はドローンで費用・工期を削減できます!

赤外線調査をドローンで実施すれば、費用・工期を大幅に削減できます。


  • 国土交通省はドローンによる赤外線調査を推奨している

  • ドローンによる赤外線調査は、作業員・周囲の安全性確保につながる

  • ドローンによる赤外線調査は、費用・工期を削減する有効な手段

  • 12条点検や大規模修繕前調査に、ドローンによる赤外線調査が効果的

  • ドローンによる赤外線調査は、飛行規制や周囲の安全確保が必要なため、専門家への依頼がおすすめ


ドローンによる赤外線調査を実施したい方は、下記よりお気軽にご相談・お問い合わせください。

https://www.crencer.co.jp/contact


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